2006年12月10日

串刺しにされて凍りつく

硝子生命論
笙野 頼子
4309008488

やはり怖い。笙野頼子はほんとうに怖い。おそろしい。第1章を読み終えたあたりで後の展開をおびえるあまり数週間、頁を繰る手が止まった。勇気を出して読み終えたが心臓を串刺しにされたような気分だ。

「文藝ガーリッシュ」だって? 少々ネクラな傾向のあるガーリッシュな読者なら凍り付いてしまうだろう。最も触れられたくない部類の、羞恥と、憎悪が、残酷なまでに抉り出され、ぶちまけられている。内臓の動きまで見透かされているような恐怖感がおしよせてくる。

救い(?)は第4章でくるりと方向転換がなされて、おそれていた形で物語が終わらなかったことである。あくまでここで語られているのは「硝子生命」であって、私が想定しておびえていたのはその硝子生命に鏡でできた布をかぶせた「鏡生命」のようなものである、と書けば勘の良い人なら分かってくれるだろう。醜悪な自己愛が素晴らしき新世界の建国という方向へそらされていったことは、安堵でもあるのだが、少々、残念でもある(誤字脱字の類が多かったのも残念である)。

水晶内制度
笙野 頼子
4103976047

がその続編であるというこの『水晶内制度』を読んでみるまでは安心できない。


posted by nadja. at 21:03| Comment(0) | 小説*日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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