2006年04月10日

ヴィトリオル

ベロニカは死ぬことにした
パウロ コエーリョ Paulo Coelho 江口 研一
4047913448

あまりに直截なタイトルがつけられていると気になってはいても避けて通るタイプの天邪鬼だから。それに私は「スピリチュアル」という単語を見ると眉をひそめ、「自己回帰」とか「自己発見」という単語を見ると首をかしげ、それが神秘主義や錬金術、神智学などと結びつくとなるとその瞬間に「眉唾」の二文字をぺったり貼り付けたくなるタイプの天邪鬼だから。この人のベストセラー、「アルケミスト―夢を旅した少年」も読んでいない(エーコの「フーコーの振り子」なんかは夢中になって読んだくせにね)。

とにかくベロニカは死ぬことにしたそうだ。そうか。それはまあ、いい。死にたいときもあるだろう。そうして睡眠薬を飲んだそうだ。そうか。それはまあ、なかなか難しい死に方だとは思うが、文中にもあった通り、女はロマンティックな方法を選びがちだものな。分かるよ、繰り返しばかりの毎日、女としての頂点(それはおそらく二十歳前後なのだろうと思う)をこえたあとは衰えながら坂道をおりていくだけ、たしかに耐えられない、それなら死んだほうがマシだ、分かる分かる。

などと軽い気持ちで読み流してしまえばよいのだと思う。そして作者の仕掛けた「ヴィトリオル」のワナに大笑いをするか、それとも腹をたてるか、そこまでは分からないけれど、笑うにしろ怒るにしろ、それはまあ、確かなことだな、と納得はするだろう。


posted by nadja. at 00:22| Comment(0) | 小説*海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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