柴田 千晶

現代詩手帖の「現代詩年鑑2009」を読んでいて気になったものだから。安い性愛。薄い幻想。こんなものに頼らねばならぬほど、わたしたちは(わたしにはこの詩の主体に自分を重ねる資格がある、VDT作業は一時間までとする…)からからに乾いているのか。
虚無の穴いくつもありて快楽の穴にも虚無が充填される
からみつくように差し挟まれる短歌。
(キットアナタハ今以上、モット孤独ニ
モット独リニナレルデショウ)
このからからに乾いた質感と、はしたない欲情とが危ういバランスを保ちながらセラフィタ氏とのやりとりはすすみ、そして次第に世界の箍が外れていく。それはいいのだけれど、とてもいいのだけれど、収斂していく最後の叫びがあまりにも凡庸で、ああ、これが現実か、と、わたしたちの救済はそこにしかないのか、と、溜め息をついた。

