2008年12月23日

闇の子供たち

闇の子供たち (幻冬舎文庫)
梁 石日
4344405145

フィクションだそうで。たまたま人から借りたのだけれど幻冬舎文庫という段階で読む気が失せ、三分の一くらいで吐き気がした。あとは斜め読み。露悪趣味、或いは偽悪趣味のオンパレードで、露骨な性描写とストーリーを追うだけの平凡な文体にうんざりする。いわゆる「神の視点」からの三人称小説であるはずなのにそこらじゅうに散見する過剰な主観的表現が鼻について仕方ない。客観的に外側から書かれているはずのものが突然内側から痛みや苦痛を訴えかけてくる、というのが、もしも作為的なものだとしたら、趣味が悪いとしかいいようがない。

冷蔵庫とテレビのために娘を売り飛ばす親。恥知らずな欲望を「後進国」相手に垂れ流す「先進国」の変態たち。腐敗した政府、官僚、警察組織、金に群がるマフィアたち(彼らもまた「元闇の子供たち」であり、そこには断ち切ることのできない再生産の仕組みができあがっている)。たとえフィクションであっても現実は遠からず近からずというところにあるのだろうし、一読することに意味がないとは思わないけれど、この悲惨な子供たちを生み出したのはあなたが享受している豊かな物質社会なのですよ、あなたのその恵まれた生活はこのかわいそうな子供たちの犠牲の上になりたっている、非人間的なものなのですよ、ということくらい、実感として分かっている。グロテスクな想像力と独善的な正義感を押しつけられる、非常にいやな本である。たぶん映画はDVDになっても観ない。
posted by nadja. at 20:13| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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