アルフレッド・ベスター 寺田克也 中田 耕治

胸のもやもやがふっとぶようなすかーっとした壮絶な復讐譚、というのを想像して読んだのだが、展開すらジョウント(未来世界において可能になるらしい瞬間移動のこと)してしまうイージーさがどうも受け入れがたかった。巻末付近のタイポグラフィーも唐突すぎてちょっと。感覚の交錯には興味あるけれど、それがあのタイポグラフィーでうまく表現されているとは言い難い。ガリー・フォイルも底が浅いし。1956年の発表当時にはきっと、ものすごく斬新な作品だったのだろう。2008年においては、残酷さが足りず、複雑さが足りない。

