2008年10月27日

凍る世界

結晶世界 (創元SF文庫)
J・G・バラード
4488629024

ついでにもう一冊バラード。バラードを代表するオールタイムベスト作品、ということなのだけど、これがいまいち、ということは私はどうもバラードに向いていないんだろうなぁ。頻出する「どえらい」という訳語もどうも気に食わない。原文ではどんな表現なんだろう。

次第に結晶化していく世界、という終末は、前に読んだ『沈んだ世界』の蒸し暑さよりも硬質で良いが(アンナ・カヴァンの『氷』を連想する)、あまり深さを感じないのは、サンダーズ博士およびベントレスら、ソーレンセンら登場人物がドタバタしすぎて関係性が曖昧になり、動機の部分がはっきりしないからではないか。永遠の時間の相のもとに、生きることも死ぬこともなく結晶となり凍結されるというのなら、ハンセン病という病を分かち合ったサンダーズとスザンヌが、もっと掘り下げられていてほしかった。
posted by nadja. at 01:45| SF | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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