2008年10月17日

より大きな希望

より大きな希望 (1981年) (妖精文庫〈29〉)
イルゼ・アイヒンガー
B000J7S7RW

「ゲオルク、橋はもう無いわ」
「ぼくたちで、新しい橋をかけよう」
「その橋は何て名前にする?」
「より大きな希望、さ。ぼくたちの希望なんだ」
「ゲオルク、ゲオルク、星が見えるわ」

なんとも象徴的な言葉で綴られた希望或いは絶望の物語。ナチス支配下の、というバイアスをはずすことはできないが、確定的な表現を極力避けた描写は詩篇のようですらある。神は我々を嘲笑っている、だから青一色の世界へ飛ぶには己の足しか頼むことはできない、けれどその青一色の世界の別名を皆が知っているから、より大きな希望はとても悲しい。イメージの残像を追いかけていくような一種特異な読書体験。
posted by nadja. at 23:47| 小説*海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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