2008年08月05日

怒りの子

怒りの子 (講談社文芸文庫)
高橋 たか子
061983741

玉のような京都弁に神経を逆なでされつつ(ごめんなさい京都の人)、のつこつのつこつ読み終える。こういう読み方は話が分断されてしまうので嫌いだ。物語のもつスピードを殺してしまう。読書は時間芸術なのに。

女が女の敵になる状況のいやらしさが、いやらしさとしてダイレクトに体感できるような後半部分がすごい。「うち、この顔、好きやない」としか言い表しようのない嫌悪感。山本ますみのたまらないうっとうしさを前にしたとき、美央子の怒りが我がことのように思えてくる。

「自分のことすてきや思たはるんやないか思て、おすすめするわ。自分のことすてきや思たはる女が、都会のすてきな男と連れだったはったりして、似合わんことあるし」

こんなことを、平気で言う無神経な女がたしかに存在するのだから怖い。誰のうちにも潜むという怒りの子を、今のところはうまく飼いならしているけれど。

主題は女の底意地の悪さと美央子の「決まらなさ」。この「決まらなさ」を置き去りにして、著者は神の世界へ踏み込んでいってしまう。なんだ、結局、そこへ行くしかないのだろうか、と、「枠が欲しい」と夢で叫んだことのある私はついつい、その方向を夢想する。
posted by nadja. at 19:32| 小説*日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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