2007年06月25日

覚えていない!

マリ&フィフィの虐殺ソングブック
中原 昌也
4309406181

子猫が読む乱暴者日記
中原 昌也
4309407838

すごい!3日ほど前に読了したばかりなのに両方とももう既に内容を一切覚えていない!読んだかどうかすら曖昧!こんな本ははじめてだ!それはそれですごい…のか、どうなのか。
posted by nadja. at 23:56| 小説*日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月15日

正気でしょうか。

American Doll Posse
Tori Amos
B000NVLJR4

さてTORIの新作。日本盤が来月発売になるのだけれども邦題『アメリカ人形軍団』。正気でしょうか。KISSやスコピー並みですね。そんな恥ずかしいタイトルのCDをレジに持っていく度胸のある人は是非頑張ってください。私には無理。ったくそんな不当な扱いをしているからいつまでたっても来日公演が実現しないのではないでしょうか。ビョークと肩を並べていても不思議ではないはずだというのはファンの欲目ですか?

さて中身はというと『From the Choirgirl Hotel』に近いかな、という印象。バンドサウンドを重視、歪んだギターが多用されていて、前作がどちらかというとふんわりした作品だっただけにおよ、と思わされます。TORI、PIP、ISABEL、CLYDE、SANTAという5人の女性が登場する今作も前作に続きおもいっきりコンセプチュアルですが、ライナーが異常なまでに読みづらく(涙)歌詞を追いかけるのが困難を極めるため、なのかどうか、意図するところが明確には見えてきません。これを理解するには相当長い時間の聞き込みと詳細な歌詞の分析が必要になってくると思います。で、そういったコンセプチュアルな側面を抜きにして考えると、例えば「Spark」や「Raspberry Swirl」がそうであったような一発でガツンと持っていってくれるような曲がないところが少し寂しいところです。要するに分かりにくい。収録曲も23曲あり、聞き手に体力と知力を要求してくる非常に挑戦的な一枚になっております。この際恥ずかしいですが『アメリカ人形軍団』を購入するほうが我々日本人には良いかもしれません。アマゾンで買いますか(笑)→「アメリカ人形軍団」
posted by nadja. at 23:13| music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

偏在する物語

回転する世界の静止点──初期短篇集1938-1949
パトリシア・ハイスミス 宮脇 孝雄
4309204252

『世界の終わりの物語』がとっても面白かったので読んでみた。『世界の〜』が筆者最後の短篇集、こっちは初期短篇集、ということでやっぱり趣きはかなり違った。生硬、というか。小説の題材になんかなりそうにない、そこらへんにいる人々のなんでもない話をとりとめなく綴っただけの(とはいえそれは本当に難しいことなのだが)起伏の少ない物語群。何も起こっていないように見えて世界は蠕動を繰り返している。今日も誰かが見知らぬ土地に夢を抱いて電車を降りただろうし、そうして何に、というわけでもなくなんとなく失望落胆して去っていっただろうし、ホテルのバーでは男と女が出会っただろうし、姉妹は些細な諍いから取り返しのつかない断絶に陥ったかもしれないし、オールドミスは上司から花束を受け取って明るい未来に夢をはせたかもしれない。回転する世界の静止点(T・S・エリオット)、とはなんとも妙なるタイトルである。その一点はありとあらゆるところにあり、誰もが自分の物語の主人公たりえる。
posted by nadja. at 21:02| 小説*海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月12日

極上の悪意をどうぞ

世界の終わりの物語
パトリシア ハイスミス Patricia Highsmith 渋谷 比佐子
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書いてはいけないテーマというのがたしかにあるんだろう。解説で若島正氏も述べていることなのだけれども、タブーを侵しまくりの短編10本。発がん物質を注入しての安楽死、捕鯨(タイトルがMoby DickUなのがまた良い)、放射性物質の廃棄問題、アフリカへの国連援助、刑務所や精神病院の過剰収容、ゴキブリ(!)、代理母、老人福祉、バース・コントロールとカトリック、そして核戦争。市民社会への悪意に満ちた視線が意地の悪い笑いを誘う。気楽に読めてとびきり面白い。疲れてるときなどにどうぞ。
posted by nadja. at 21:37| 小説*海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月08日

温暖化の果ては

沈んだ世界
J.G.バラード 峰岸 久
4488629016

こういうところが、と明確には指し示せないのだけれども、どうにも肌に合わない文章というのがある。私は風景描写が延々と続くような文章が苦手なのだが、この水没した世界を描いた作品も頭の中でうまくその世界を構築できなくて、南への回帰願望を共有することはできなかった。ただ水がせき止められてロンドンの街が浮上してきたところの描写は良かったと思う。温暖化の果てはこんな世界か。
posted by nadja. at 22:02| SF | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月05日

やっぱり読んでおくべき古典

タイムマシン
H.G. ウェルズ Herbert George Wells 石川 年
4042703062

これまた「超有名なのに実際あんまり読まれない」度では『ユリシーズ』級ではないかと思うが(え、皆読んでるの?)。講談社の豪華版世界文学全集はウェルズとハックスリーを収監していたのでせっかくだから読んでみた。訳者は瀬尾裕さんという方。たしかにちょっと古風な訳だった。

80万年後まで行っちゃうってことも知らなかったし、こんな切ない話なんだってことも知らなかった。世界の終りを俯瞰してしまう発想にも驚く。陽光溢れる穏やかな田園風景のなかで花を摘む草食のエロイと地下世界で機械を操作し貪欲に肉を喰らうモーロック、という構図はまんまセレブリティとプロレタリアの関係で、けっこうリアリティがある。批判めいても風刺めいてもいないところがまた逆に良かった。白い花に込められた作者の希望がとても美しい。
posted by nadja. at 04:45| SF | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

不幸になる権利

すばらしい新世界
ハックスリー 松村 達雄 Aldous Huxley
4061370014

「世界史の教科書(か地図帳か用語集)に載ってるくらい有名な本なのに売ってない」度ではシュペングラーの『西洋の没落』に匹敵するかもしれない。講談社文庫、のようだけど見たことないなぁ(講談社文庫ってあんまり買わないんだよな)。図書館で借りようとしたら講談社の豪華版世界文学全集しかなくて、経年ヤケのできた辞書級のでかい本を捧げ持つ羽目に陥った。

まさにすばらしい新世界じゃないの、『われら』『1984』よりおそろしく感じるのは優生学/生物学的統制に重点が置かれているところか。ボカノフスキー法によって植物のように増殖された一卵性の双子たちが同じ作業を延々と繰り返しているところを想像するとたしかに吐きたくなってくる。個性個性とかまびすしい割には我々の顔は均一化に向かって突進しているわけだが。真理や美から快適や幸福へのシフトチェンジ。文明は崇高や悲壮を全然必要としないんだよ・・・。神は機械や化学的薬品や大衆の幸福とは両立しない。工業文明は克己などというものが全然ない場合にはじめて可能。それじゃ全く、君は不幸になる権利を要求しているわけだ・・・・・

安定とか平和とか幸福を追求していけば最終形態は「すばらしい新世界」になるに決まってる。それが何百年後かは分からないが。格差を格差とも思わず(それは生まれつきの格差なのだから)、作業のような仕事を暇つぶしのために行って、ソーマのおかげで悲しみも不安もなく、セックスに飢えることもなく、老いもなく、死の恐怖からも解放されて。それ以外何を望むことがあろう? 

要するに生の充実とは不幸によってのみもたらされるということだ。不幸になる権利を放棄してはいけない。 
posted by nadja. at 04:07| 小説*海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月03日

アカフェチ必読(笑)

小さな世界―アカデミック・ロマンス
デイヴィッド ロッジ David Lodge 高儀 進
4560047383

あのー、センセイ方、仕事、してください。おばかエピソードがてんこ盛りで全く飽きなかったけれども長い。冷静に考えたらメロドラマも赤面して裸足で逃げ出しそうな筋立てなのに何がいったいこの作品をこんなに面白くしているのかという問いの答えはもちろん「異化」。「誰もがあなた方に賛成したらどういうことになるんです?」は史上最強の脱構築用語である。
posted by nadja. at 16:08| 小説*海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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