2007年05月29日

紅い花を摘むのは

紅い花 他四篇
ガルシン 神西 清
4003262115

彼が紅い花を摘むのは決して己のためではないのだ。無駄で、愚かで、だからこそ見事で、悲しい。ぐだぐだ書いてもすべて蛇足になってしまう。この内容は短編という形式でのみ有効だと思う。無駄が一切ない、引き絞られた短編。ほかの四篇は苛烈さこそないけれど「アッタレーア・プリンケプス」の寓意は個人的にとても好き。「信号」も展開にはっとさせられる。今ならチェーホフを面白いと感じるかもしれない、とちょっとだけ思った。
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2007年05月25日

NINE INCH NAILS@ZEPP OSAKA

Somewhat Damagedで幕を開けるという。Hyperpower→The beginning of the endの流れは今回のツアーではフィックスなんだろうとタカをくくっていたので一瞬な、な、なにこの曲、とウロウロしてしまった。too fucked up to care anymore、が自分の今の状況とシンクロしすぎていて阿呆のように叫び散らす(笑)。

世間では、ハンカチ王子だのハニカミ王子だのと王子が大流行だけれども、この人だって元王子、暗黒王子と呼ばれた人なんですよー、といってもうそん、と流されてしまいそうな現実がそこにあった。もはやトレント軍曹と呼びたい。ゲリラ戦そのまんまOK。うっほ、うっほ。

やたら元気で。体力気力ともに充実しているんだろうな、というのがいやというほど伝わってきた。Year Zeroはやたらエネルギッシュな作品だけれど、今のトレントはとにかくはちきれんばかりのエネルギーにみちみちていて、うれしいような、うれしくないような、複雑な気分がした。

ハイライトは間違いなくHurt。背景がまったく見えないくらいのスモークと、血色の照明。希望とか再生とかそういう単語を彷彿とさせるHurtだった。もうここで帰っていい、と思った。だからThe hand that feedsがはじまった途端に暴れだす周りの人たちについていけなくて、結局最後のHead like a holeもぼんやりしたまんま終わってしまった。でもいい。

***

意外にも(?)、Me,I'm notがもんのすごくかっこ良かった。地味な曲だなと思ってたけど。あと東京ではマイNINベストであるところのHeresyをやったそうじゃあないですか。Piggyが終わったあと、これはくる、くる、くるよなーっ、とアタマの中でイントロまで流したのにこなかった(涙)。The beginning of the endがはじまって、違うーと叫んでしまった。なんのこっちゃら。

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2007年05月20日

博士の愛した数式を読み解くと

博士の愛した数式
小川 洋子
4101215235

映画を観た直後に読み直し。良いな、と思っていた場面がすべて映画ではそぎ落とされていて悲しかったので。でも映画となったら阪神タイガース、江夏を前面に押し出すことはやっぱりできなかったんだろうな、と読み直しながら納得した。いろいろ制約があるんだろうね。

でも博士は野球なんかしないほうが良い。するべきじゃない。スタンドのきれいな売り子のおねえさんからジュースを買って喜んでいる博士のほうが私は好きだ。

この本のキモであるオイラーの公式、博士の愛した数式である「eiπ + 1 = 0 」は、虚数だとか無理数だとかいった重々しい大人同士の関係に、「1」、子ども=ルート、が加わることで、完全な円となる、ことをあらわしているのだと私は思う。映画には「eiπ = −1」というヴァージョンも出てきていて、これは博士、兄、そして兄の嫁の結局マイナスにしか作用しなかった三人の関係を表現している。数学って美しいな、と思う。なんて簡潔でなんて大胆でなんて象徴的なんだろう。

原作を先に読んでいて、映画を観たあと、ああこれは映画の勝ちだと思ったことって実は一度もない。「eiπ + 1 = 0」に封じ込められた物語の機微は、やっぱり本のほうが味わい深い。
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2007年05月18日

簡潔。

悪童日記
アゴタ クリストフ Agota Kristof 堀 茂樹
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ブクオフ100円コーナーから救出。1時間もあれば読んでしまえるような作品だがどうしてどうして。読み応え十分。明確な説明は一切ないが、おそらく第二次世界大戦中の、おそらくハンガリーの、おそらく田舎町に疎開してきた双子の物語。それにしてもこの文体はまさに異常だ。主観、価値判断が一切ない。「ぼくら」が直面する世界をそのまんまぼーんと切り出してくるだけ。

・「おばあちゃんは魔女に似ている」と書くことは禁じられている。しかし「おばあちゃんは魔女と呼ばれている」と書くことは許されている。

・「小さな町は美しい」と書くことは禁じられている。小さな町はぼくらの眼には美しく映るが他人には醜く映るかもしれないから。

・「従卒は親切だ」と書けばそれは一個の真実ではない。もしかすると従卒にはぼくらの知らない意地悪な面があるのかもしれないから。「従卒はぼくらに毛布をくれる」と書く。

・「ぼくらはクルミの実をたくさん食べる」はOK。だが「ぼくらはクルミの実が好きだ」は禁止。「好き」という語は精確さと客観性を欠いているから。

全編この調子。悲しい、つらい、寒い、ひもじい、すべて排除されている。ああ世に溢れる物語のいかに装飾過剰なことよ。目からウロコがぼろぼろ落ちた。
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2007年05月17日

物語からの解放

ニューヨーク革命計画 (1972年)
平岡 篤頼 アラン・ロブ=グリエ
B000J94ZDA

『迷路のなかで』を10ページほど読んだところでああこれは拷問に近い、と断念、『消しゴム』も何年か前にチャレンジしたがやはり途中でああ拷問だ、と断念したことがある。解説にもあるとおり、「アラン・ロブ=グリエは多くの伝説に取り囲まれ、そのくせ作品そのものが読みとおされることのきわめて少ない作家である」。

なんらかの物語、筋立てを読み取ろうとするから読めないのだ、ということに気づいた。冒頭、ドアの木目模様であったはずの若い女がいきなり叫び声をあげたあたりで、ああ、今回も無理だ、とあきらめかけたが、勢いで視線を走らせると案外読めた。こちらの思念や判断力をすべて放棄させてしまう、とんでもなくサディスティックな文字列。

犯されたのが誰で殺されたのが誰で追跡者が誰で覗いているのが誰で話者が誰であっても、ローラが、JRが、ベン=サイドがどの存在を指し示す名詞であっても、もうそれはどうだっていいのだ。切れ目。やり直し。物語の断念。物語からの解放。読後感は爽快。
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2007年05月15日

LOW復活

Drums and Guns
Low
B000MV8CSO

『Trust』は正直今でも「Last Snowstorm of the Year」だけが好き。『The Great Destroyer』は本当に大いなる破壊だったと思ってる。届けられた純白のジャケットを見てああ、これは大丈夫だ、と思った。

「歌ってる」感は残したまんまで、水の底に沈んだ激情みたいなのが戻ってきた。ストリングスや打ち込みもLOW独特の神聖さにうまくかみ合っている。良かった。

良かったけれど不穏だ。

All the soldiers
They're all gonna die
All the little babies
They're all gonna die
All the poets
And all the liars
And all you pretty people
You're all gonna die
(「Pretty People」)

ブックレットも左のページにはドラム、右のページには銃(NINのも聖書と銃だった)。不穏な象徴。アメリカがおかしい。
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水っぽい幻想

水蜘蛛
マルセル ベアリュ 田中 義広
4560070865

Uブックス読み残しシリーズ。「水蜘蛛」と「百合と血」のみがちょっと長くて、あとは2〜3ページの小編。水蜘蛛は水のイメージがとても美しく、ほんのり切なくほんのり怖い、「ザ・幻想小説」。「球と教授たち」は全然赴きが違って「ザ・エスプリ」。「読書熱」もころっと調子がかわって「ザ・ブラックユーモア」。「諸世紀の伝説」は「ザ・寓話」、といった具合にいろいろ入っていて楽しい。現実との距離がさほど遠くない水っぽい幻想が心地よかった。
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2007年05月14日

カタルシス

プレイヤー・ピアノ
ジュニア,カート ヴォネガット Kurt,Jr. Vonnegut 浅倉 久志
415011501X

2005年発行ので読んだがとにかく字が大きくて読みにくかった。最近の文庫本ってどんどん字が大きくなっている。それだけぱっとページを開いたときに飛び込んでくる文字の数が減り、目を余分に動かさないといけない。ぷんすか。

さて機械による人間の疎外という超古典的テーマをおもしろおかしく読みたかったらこれである。結局なんの解決にも至らないのだがラストのシーンではそれなりのカタルシスが得られる(中庸なんかくそくらえ!)。とはいえもはや「疎外」という概念自体が時代遅れであるのと同様、内容自体は今の時代の気分と少々ずれている。機械を憎む声というのは昨今ほとんど聞かれない。今のところ、人間は機械とうまく妥協している。

正直なところ本作は、著者名が隠してあったとしたらヴォネガットの作品だとは分からないかもしれない。全体的に生硬な感じは否めなかった。
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2007年05月12日

ハイホー。

スラップスティック―または、もう孤独じゃない
カート・ヴォネガット 浅倉 久志
4150105286

ハイホー。ってなかなか良い。空元気が出る。「人間に対する愛と犬に対する愛の区別がつかない」というのも良い。この一冊まるまるがとっても悲しい空元気のような気がしてならない。
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2007年05月08日

survivalism

蝿の王
ウィリアム・ゴールディング 平井 正穂 William Golding
4102146016

こんな情況は、子どもでなくても、無人島でなくても、なんらかのコミュニティ、集団が存在する場所には程度は違えど必ず現出する。それを考えると背筋が薄ら寒くなり、ラーフの心臓の高鳴りとともに自分の心臓も緊張を強いられた。回避するすべも思いつかない。必然なのだろうか。もしもジャックが最初から欠けていたとしても、おそらく別の誰かがその座にすわるだけだろう。そういうものだ、としたら人間というのはとんでもない生き物である。

あざといまでに二元論的な対比がされていて見事だった。二者選択を迫られたとき、第三の道を探そう、と手を握り合う勇気だけが人間を救うのかもしれない。
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2007年05月07日

さらにいいものみつけた。

アマゾンがTORIの新しいのをまだ届けてくれないので最近ようやくはまった(笑)youtubeでいろいろ見てたらさらにいいものみつけた。

http://www.youtube.com/watch?v=XiHM5KgQ9aE

この曲、随分昔に歌のお師匠ケイコ先生がもんのすごく切ないアレンジで歌っていて、これはねぇ、JIM CROCEっていう人のねぇ、OPERATORっていう曲でねぇ、と教えてもらって、ああ、ケイコ先生みたいに歌えるようになりたいなぁ、と、何度も何度も聞いて、何度も何度も練習した。でもその頃はなーんにも分かっていなくて、ただ歌詞とメロディを追っかけてただけで。

その頃には、ただ話したいだけなのに、どうしても電話できない人なんかいなかったから。

オペレータ時代(もちろん電話の交換手じゃないけどね)、帰り道にはそんなことを思い出しながら、よく口ずさんでた。時々泣いたりして(笑)。

TORIと一緒に歌ってたら収拾つかないくらい泣けてきた。多分最近あんまり聞かせてくれなくなったエキセントリックな歌い方のせいかな。

冒頭で「this is the song that my brother really loved」と紹介しているのが気になって、調べたら2004年に自動車事故で亡くなったそうだ。それを知ってしまうとこの曲を歌うTORIの気持ちは相当悲痛なものがあるだろうに、そんな曲を泣かずに歌えるというのはさすがにすごいな、と思うのだった。まるで泣いてるみたいな歌い方だけれど。

Auditorium Theatre...
Tori Amos
B000BB96NA

に入ってたから買っちゃった(笑)。まったくもう。
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降参

ノーストリリア―人類補完機構
コードウェイナー スミス 浅倉 久志
4150107106

んあー、えっと、なんだ? オールド・ノース・オーストラリア? ストルーン? テレパシー? 何トンもある巨大な病気の羊? 猫人? 熊人? 宇宙一の大金持ち? ごめん! 参った! とはいえ最後まで読んだ。頑張った。猫人のク・メルがかわいいのでなんとか頑張れた。なんでも短編集とあわせて読まないと全体の構図が浮かんでこないらしい。いやあ、降参。多分わくわくどきどきの手に汗握るアドベンチャー系SFなんだと思う。免疫がないので面食らってしまったけど。
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2007年05月05日

いいものみつけた。

http://www.youtube.com/watch?v=sbZVzultvFs

OVER THE RHINEのHallelujha。立ち姿その他がベス姐さんに似てる、と。

http://www.youtube.com/watch?v=L9JHlWAlarA

KARINさん、前髪はないほうが良い、と。Drunkard's Prayerは本当に名曲。
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2007年05月04日

この世の驚異

この世の王国
アレホ カルペンティエル Alejo Carpentier 木村 栄一
4891762691

アンデスの風叢書は面白いなぁ。

ヨーロッパの想像力への辛辣な批判で幕を開ける。解剖台の上でコウモリ傘とミシンがめぐりあったりしなくても、現実そのものが驚異的である、という力強い主張。地に足がついた「驚異」の数々。マッカンダルが緑のイグアナや夜行性の蛾や犬やペリカンになったとしても、それはなんらシュールなことではないように感じられる。驚異も神秘もこの世にある。

ハイチのことなんてせいぜいトゥーサン・ルヴェルチュールしか習わなかったから、どこまでが現実でどこからがフィクションなのか分からない、という学問的貧困が驚きをさらに大きくしているのかもしれない。歴史じたいが常識的な想像力を大きく逸脱した悲劇である。その悲劇をくぐりぬけた後においての「人間の偉大さは、現状をよりよいものにして行こうとする点、つまり、自分自身に義務を課して行く点にある。天上の王国には、征服して手に入れるべき偉大なものが欠けている」(152-153P)という達観した姿勢にはただただ感服するしかない。
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文学理論殺人事件

作者の死
ギルバート アデア Gilbert Adair 高儀 進
4152078200

ポール・ド・マンがぁぁぁ、ひぃぃぃ、と夜中にもんどりうちながら読む。ハロルド・ブルーム御大やデイヴィッド・ロッジがさりげなく登場しているあたりにもほくそえむ(インフルエンス→インフルエンザには失笑)。裏カバーの著者の写真が知性の塊みたいで怖い。「作者の死」という「ザ・セオリー」が孕んでいる問題点を見事にえぐっている(メタレベルではなくて実際の文学理論での議論におけるレベルにおいて)。理論書はこんなに分かりやすく提示してくれまい。そうだよ、作者が存在しないなら文責はどこに存在するんだ?言語構造そのものの内部に?ネタバレになるから書かないけど犯人が尻尾を出すのが文体の模倣の問題であったあたりに作者の最大の皮肉が込められている。そういう点では面白かったけど、ミステリとしては「金を返してもらいたい気がする」。うはは。
posted by nadja. at 14:58| Comment(1) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ベストセラーの条件

アルケミスト―夢を旅した少年
パウロ コエーリョ Paulo Coelho 山川 紘矢
404275001X

わかりやすい、よみやすい、ので「この本良い本だよ」と薦めるのにもってこいで、けっこうどんな人にでも気軽に読んでもらえそうな一冊。旅のお供に連れて行く人が多いんだとか。なるほど。

羊飼いの少年が夢に導かれて旅を決意し、宝物を探しに行くいたって典型的な冒険物語。まるで物語はこうやって書くんですよ、という教科書みたいな。そのぶんいたって特徴がないのが難点。ブクオフに行けば100円でずらっと並んでるので、100円でこれだけの夢が読めると思えばお買い得。月並みな言葉と月並みな展開しか並んでないがゆえに、いつ、どこで、どの国の、何歳の人が読んでも、それなりに訴えかけてくるものがあるんだろう。すなわちそれこそベストセラーの条件である。
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2007年05月03日

みんなで仲良く笑って暮らそう…

ヴォネガット、大いに語る
飛田 茂雄 カート・ヴォネガット
4150501505

だいたい60年代の半ばから70年代の半ばにかけての批評とエッセイ、講演などを収録。小説作品のような面白さには欠けるのだけれど、どういう思考があの世界を生み出しているのかな、と思ったらやっぱり読まずにはいられない。

曰く、<坑内カナリア芸術論>。芸術家は非常に感受性が強いからこそ社会にとって有益だ、という理論。警鐘を鳴らす存在として。なるほど。若者はなぜヘッセを読むのか。ママやパパが懐かしいから。なるほど。やっぱり出色はロング・インタビューの形になっている『自己変革は可能か』。自己変革についてなんかちっとも語っていないけど(笑)。とにかくこの人のアンテナの感度は非常によくて、よすぎて、傍受した大量の情報−あらかたの情報は絶望的観測を呼び起こすものでしかない−をとにかく、ユーモアとペーソスでもってどう食えるように料理するか、のプロセスが面白おかしく書いてある。

みんなで仲良く笑って暮らそう、という、ただそれだけのことしか、言ってないのかもしれない。それだけのことが、本当に難しいので、とびきりの笑い方を知っている人に、こうして語ってもらえることはとても救われる。
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2007年05月02日

ごめんなさいビヨさま

ヴォルタ
ビョーク
B000O78XMG

これもヴィジュアルがすごい…。

さておきタワレコに行ったら案の定ガンガン鳴っていた。今回のはずくずくいってて、すんごくかっちょよさげ。お、いいねぇいいねぇ、アマゾンもほかの注文出したばっかりだし、買っちゃおうかな、と思っていざ平積みのコーナーに近づくと、

「全ジャンルのリスナーに捧ぐ!全人類必聴!現代芸術、最高にして孤高のアーティスト、BJORK!」

みたいな手書きのポップがでかでかと貼られていて、ちょっとレジにもっていくのを躊躇してしまった。現代芸術って。ので、仕方なく、視界のはじっこに飛び込んできた

ザット・ワン・ナイト~ライヴ・イン・ブエノス・アイレス
メガデス
B000MTELEA


こっちを買ってしまった。ごめんなさいビヨさま。でもほらアマゾンのほうが安いし。ムステイン大佐のふさふさの髪の毛に免じて許してください。
posted by nadja. at 18:12| Comment(2) | etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月01日

素晴らしいオマージュ

リチャード・ブローティガン
藤本 和子
4104014028

この本は素晴らしい。ブローティガンの翻訳者である藤本さんの筆による、ブローティガンについての本、決して研究書でも評論でも評伝でもなく。まるでブローティガンの言葉を補完するように響くひとつひとつの言葉が本当に素晴らしい。

巻末近く、ちょっと力の入った調子で述べられた以下の一節。
片腕では生きていけないと考えた青年にたいして、人間は片腕だけでも生きていけると説教することはやさしい。しかし、それでは生きていけないと主張した青年の心の動きを理解することはできるのか。

わからなければ、われわれは沈黙すべきである。普遍的と見なされているような知恵をもって、他者の行動を判断することは傲慢だ。わからないことをわかったといってしまう思いあがりに対抗する方法としての文学を、ブローティガンは想定して、その態度をつらぬいた。かれの作品は、人物の心理や性格が詳しく書かれたことがない、という批判は山ほどある。それができなかった、という前提での批評だろう。しかしそれはかれの強みだった。人物をよく知っているという前提で書くことにつきまとう倣岸を、かれは拒絶していた。人格は行動でしめし、行動する人間の観察者として自らの役目を限定していた。(235p)

そして、藤本さんも、そうした。断定もなければ、解釈の押し付けもない。インタビューや、回想をまじえながら、たくさんの章を重ねるようにして構成された本書は、「人物をよく知っているという前提で書くことにつきまとう倣岸」とは無縁である。

なんだか泣きたい。おそらく悲惨であったのだろう、ブローティガンの生い立ち。想像力の翼による脱出。挫折。孤独。自死。だがそんな悲惨ですら、詩人は自己憐憫を退け、そうして訳者は安っぽい同情を退け、あくまで冷静に、一定の距離を保ったまんまで描き出してみせる。
posted by nadja. at 21:53| Comment(0) | 学術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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