2018年12月01日

|д゚)チラッ

街中にボヘミアンラプソディがこだまする昨今みなさんいかがお過ごしでしょうか、たいへんお久しぶりでございます。長年死んだふりをしてましたが残念なことにまだ生きてました。

でボヘミアンラプソディですが当然観にいきまして、人並みに感動して帰ってきたのですがそれはさておき今わたくしのなかで空前のディオブームが巻き起こっておりまして。ディオ、ロニージェイムズディオ、メタル界の北島三郎、いやいや、ヘヴィメタル界の帝王、ゴッドファーザー、おーさかのおばちゃんにそこはかとなく似ていることでも有名なあのディオ様です。没後8年が過ぎましたがそんなことはなんのその、mama,oooo~、のかわりにdie young die young と元気におたけびをあげてくださっています。

RAINBOWやBLACK SABBATHはみんなが通る道、わたしも高校生の頃、B!誌にそそのかされるまま、温故知新だとかで普通に聴きました。そのころからStargazerはかっこいいよなあ、程度には思っていましたが、次に意識にのぼったのは「6,6,6,6,6階さわらせて〜」の空耳が紹介されたときだったでしょうか。そして次はもう、ディオ様の訃報に接したときでした。夜通しRAINBOWを聴いたものです。でもそのころはまだ、グラハムボネットのほうがうまいやん?とかほざいてた気も若干する…。

大学の頃、「SILVER MOUNTAIN」というまんまな名前のコピーバンドをやってらした先輩方がいて、当然RAINBOWをやってらしたのですが、ギタリスト氏1は酒癖が異常に悪く、今でいうところのいじられキャラで、合宿の折などへべれけでぶったおれてエレベーターに身体をはさまれ、がこーんがこーんとドアが開いたり閉まったりしているところをみなで爆笑しながら見守らせていただいたりしました。ギタリスト氏2(そもそもなんでダブルギター?)はメタルゾーンというエフェクターを愛用してらっしゃった生粋のメタラーで、何を弾いても「シャーーーーーー!」としか聞こえず、上手いのか下手なのか誰にもわからないというユニークな方でした。このお二方のおかげで「RAINBOWが好き」なんていえる雰囲気じゃなかったんです!いや、好きになってはいけない、ぐらいの強制力はありました。この呪いが長年続いていたわけです……

それが突然のディオラッシュ!永遠にStargazer終わらなかったらいいのに!いつまでもいつまでもロニーの節回しを聴いていたい!てかもうこれ一日中リピートしてられる!youtubeでライブを漁る!近くにK2レコードという変態的な品ぞろえを誇るレンタル屋があるものだからライブ盤も借りまくる!MDやカセットに封印されていたディオ様を解き放つ!そして夜中にStargazerひとりエアライブを敢行する!!

ディオ様をさかのぼっていると当然のことながらメタル界のビッグネームが次々と出てきて、胸がアツくなります。たくさんライブ盤聴きましたが80年代にメタルにはまった身としていちばん胸がアツアツしたのはやはりこれ。



ディオ様の野太いシャウト、力強い声の伸び、そんなに声はって大丈夫なの?と心配になるほど。そしてDisk1はヴィヴィアンキャンベルの主張が激しいギターがたまらん!ハーモニクス多用するギタリストがやはり好きなので。83年と87年で聴き比べできるのもよき。



もう今なにもかも愛おしいゾーンにはいってしまっているので、お年を召されてからのいぶし銀の、ちょっと苦しそうなこれなんかもよかったんですが、やはり「衰え」は如実にあらわれていますね。でもいいのいいの、これだけのものをのこしてくれてありがとう。約10年ぶりにぐわーって語りたくなるほどのアツさをありがとう。やっぱりわたしメタルが好き。ポストクラシカルだとかサッドコア、スロウコア、そんなのも好きだけど、やっぱりやっぱりメタルが好き。もう誰に何を遠慮する歳でもないから、大学の頃の呪いも払拭したw、好きなものは好き、仕方ない、って開き直って強く生きていきます。

で、RAINBOWのコピーバンドやらへん???w
posted by nadja. at 16:01| music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月01日

根をもつこと

根をもつこと
シモーヌ・ヴェーユ 山崎 庸一郎
4393325370

ずっと『著作集』でしか読めなかったし、品切れ状態で、アマゾンでもアホみたいな値段ついてましたが、春秋社より新装版で出ています。実を言うとそのアホみたいな値段で買ったうちのひとりなのですけどまあそれはおいといて、今年ヴェイユ生誕100年、この魂の美しさ、気高さは不滅。

「義務の観念は権利の観念に優先する。権利の観念は義務の観念に従属し、それに依存する。一つの権利はそれ自体として有効なのではなく、その権利と対応する義務によってのみ有効となる。」

義務を放棄して権利ばかりを言い立てる時代に、本書が白く鋭い槍となって深く厳しく突き刺さらんことを。
posted by nadja. at 23:56| 学術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月25日

恋愛太平記

恋愛太平記〈1〉〈2〉/金井美恵子(集英社文庫)
恋愛太平記〈1〉 (集英社文庫) 恋愛太平記〈2〉 (集英社文庫)

たまたま紀伊国屋に寄ったときに復刊がフォーカスされていたのでつい買ってしまう。これこそが金井美恵子の「饒舌体」であります。噂話は楽しいのだ! それこそ近所のおばちゃんたちがあーでもないこーでもないとだらだらだらだらしゃべっているのをそのまんま文章にしたような、何々してたら誰々がどうこう言うものだからこれこれしようと思ったときに誰々から電話がかかってきてそのあと誰々とどこどこで会ってうんぬんかんぬんといった調子で文庫本2冊! 楽しくて楽しくてこのまんま永遠に読んでいたい。で、それで、今朝子ちゃんは、夕香ちゃんは何をしてるんだろう? とこの人たちのお話に混ぜてもらいたいような気さえする。
posted by nadja. at 14:52| 小説*日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月23日

ゼラニウム

ゼラニウム
堀江 敏幸
4022577029

短編集。アルクィユにかかる水道橋でのぼんやりした回想形式で書かれた「薔薇のある墓地」が良かった。冒頭、どこまでもどこまでも続いていく長い一文に度肝を抜かれ、よ、よみにくい、と絶句するも2、3ページ読み進むと慣れた。他5編はどれも唐突な終わりが余韻を残す。同じ学者さんの小説でも松浦寿輝のずぶずぶ世界より健やかな感じ。お休みの日などにぼおっと読むと優雅な時間が味わえると思う。無性にフランスに行きたくなる(笑)。
posted by nadja. at 21:44| 小説*日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月20日

ソラリス

ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション)
スタニスワフ・レム 沼野 充義
4336045011

同じく『百年の誤読』をぱらぱらしていて、あ、これも読んでないなあ、と。タルコフスキーの映画は観たけどぼんやり白い印象しかない。で読後感としてはやっぱり映画より、文章のほうが良い。ソラリス学の展開を読んでいてこれまでやりすぎなんじゃないの? と敬遠していた『虚数』や『完全な真空』を読んでみたくなった。巻末の解説で、ソダーバーグのラブ・ストーリーでもタルコフスキーの懐かしさでもない、とレム自身が否定していた。たしかに、ソラリスの海とは「人間」という尺度を拒否する得体の知れない何かでしかなく、人間形態主義的な解釈の方法では太刀打ちできない存在をめぐる葛藤こそがテーマであったように思う。たぶん映像では表現することのできない、認識論的な話。いささか唐突に提示される「欠陥をもった神」というソラリスの海の一解釈を毅然と引き受ける主人公の姿勢がなぜかとても美しいものに思えた。
posted by nadja. at 01:55| SF | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月18日

セラフィタ氏

セラフィタ氏
柴田 千晶
4783730539

現代詩手帖の「現代詩年鑑2009」を読んでいて気になったものだから。安い性愛。薄い幻想。こんなものに頼らねばならぬほど、わたしたちは(わたしにはこの詩の主体に自分を重ねる資格がある、VDT作業は一時間までとする…)からからに乾いているのか。

虚無の穴いくつもありて快楽の穴にも虚無が充填される

からみつくように差し挟まれる短歌。

(キットアナタハ今以上、モット孤独ニ
 モット独リニナレルデショウ)

このからからに乾いた質感と、はしたない欲情とが危ういバランスを保ちながらセラフィタ氏とのやりとりはすすみ、そして次第に世界の箍が外れていく。それはいいのだけれど、とてもいいのだけれど、収斂していく最後の叫びがあまりにも凡庸で、ああ、これが現実か、と、わたしたちの救済はそこにしかないのか、と、溜め息をついた。
posted by nadja. at 02:15| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月14日

ご挨拶

そういうわけで、冬籠もりしていた間に観たり読んだりしたものをメモ書き程度にざーっと連ねてみました(日付は適当)。なんといっても寒いので、寒くて寒くてたまらないので、PC打つのも面倒な今日この頃ですが、そろそろ起きてみようかな、と思った次第。今年もよろしく。
posted by nadja. at 03:09| etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月12日

海に落とした名前

海に落とした名前
多和田 葉子
4104361038

短編(中編、かな)4つ。どれもシンプルな物語で、『飛魂』や『聖女伝説』、『変身のためのオピウム』を経たあとでは物足りない、と感じてしまうが「U.S+S.R 極東欧のサウナ」は明確な骨子をもたない作品ながら、ひとつの文がa)b)c)という具合に複数の可能性を提示しながら展開していく、という「反小説」で、なんとなく、この人のものの書き方というものが、ほんの少しだけ分かったような、分からないようなで、興味深かった。
posted by nadja. at 21:42| 小説*日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月11日

聖女伝説

聖女伝説
多和田 葉子
4872332857

そしてさらにさらに多和田葉子。これはもう、残り三分の一あたりからあっけにとられるしかなくなる展開で、薄笑いさえ浮かんできた。ひとりの作家の作品をこれほどまとめて一気に読んだことはなかったのではないだろうか。でも、何作読んでも、この人の核になにがあるのか読めない。なんだかもう、ひれ伏してもかまわない、という感じ。
posted by nadja. at 20:07| 小説*日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月10日

野性の呼び声

野性の呼び声 (光文社古典新訳文庫)
ジャック・ロンドン 深町 眞理子
4334751385

こないだ『百年の誤読』をぱらぱら読んでいたときにああ、そういえばこれ読んでないな、と思い、お気に入りの新訳文庫で読んでみることに。『ベルカ、吠えないのか?』が良かった人は是非、って書いてあったし。バックという名のセントバーナードとシェパードの血を引く犬がゴールドラッシュ時の極寒地帯で荒々しく、逞しく、生き抜いていく様が描かれる。わたしは犬より猫、なのだけれど、こういうのを読むと犬という生き物がほんとうに畏れ多いものに見えてくる。誇り高く、気高い、不可侵の存在。猫はそこまでじゃあ、ないものね。実家に『白い牙』が未読のまま、15年くらい眠っている(…)。
posted by nadja. at 21:45| 小説*海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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